「歯科衛生士になるには何年かかるのだろう」
「歯科衛生士は難しい?」
「歯科衛生士の資格はどうやって取る?」
歯科衛生士の仕事に興味があるものの、どのように目指したらよいのかわからない方のために「歯科衛生士になるための方法」をお伝えします。
比較的「資格が取りやすい」「夜勤などがない」「肉体労働が少ない」「収入が安定している」といわれていますが、実際のところはどうなのでしょうか。
現役歯科衛生士が、歯科衛生士の魅力はもちろん、働いてみて感じるデメリットなどもぶっちゃけます。
歯科衛生士ってどんな仕事?
歯科衛生士は幅広くいろんな方と接する仕事です。
歯科医院では、健康な人から病気の人、また赤ちゃんからご高齢の方、赤ちゃんが産まれる前の妊婦さんまで来院されます。
健康を維持し続けるためにどのように予防すればよいのかお伝えし、歯周病の症状を緩和させるための処置などもします。
また歯科医師の診療をサポートする業務もあり、歯科衛生士の仕事は多岐にわたります。
それらが、歯科衛生士の三大業務である「歯科予防処置」「歯科保健指導」「歯科診療補助」です。
歯科医師にしか病気は治せないように思うかもしれませんが、実は歯科衛生士でも健康に導くことができるのです。
歯科衛生士になるために必要な資格の取得方法や働くまでの流れ
歯科衛生士になるには、専門的な学校で必要な知識や技術を習得したのち、国家試験に合格すると「歯科衛生士免許」を取得できます。
歯科衛生士として働くまでの流れは下記のとおりです。
- ①大学・短期大学・専門学校のいずれかに入学する
- ②座学で知識を、学校の実習で技術を習得する
- ③短大や専門学校では2〜3年生、大学では3〜4年生時に、歯科医院や病院など現場での臨床実習がある
- ④集大成として、国家試験前にまずは卒業試験を乗り越える
- ⑤卒試後、3月の頭に国家試験を受ける
- ⑥国家試験に合格したら歯科衛生士免許の登録を行う
- ⑦自分の働きたい場所が決まったら見学や面接にいく(国試の勉強と同時に進めることがほとんどです)
無事に採用されたら、4月から歯科衛生士として勤務することができます。
歯科衛生士の国家試験
歯科衛生士は国家資格なので、国家試験を受けなければなりません。毎年3月の頭に試験があります。
試験はマークシート形式で、合格率は9割以上です。
「そんなに難しくないのなら独学でがんばりたい」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、残念ながら独学はNG。
歯科衛生士の国家試験を受けるには、指定の学校に通い、必要なカリキュラムを受講する必要があります。
学校の選び方
歯科衛生士をめざすことができる学校の種類は3つあります。
①大学
②短期大学
③専門学校
文部科学大臣指定の歯科衛生士学校、または厚生労働大臣指定の歯科衛生士養成所である、上記3つのいずれかです。
大学では一般教養科目を学んでから専門的な知識や技術を身につけるため、4年間の通学が必要です。
以前は、短期大学や専門学校では2年制の学校もありましたが、現在は3年制の学校のみ。
大学や短大では特定の分野について学問として学ぶことができ、専門学校は職業に直結する知識と技術が習得できます。
そうはいっても、卒業後の知識や技術の差はどの学校を卒業してもそれほど差はありません。
学校時代よりも現場に出てからどのように学んでいくかが重要です。
専門学校のメリット・デメリット
■メリット
・歯科衛生士に特化した授業
専門学校が他の一般教養も勉強するのに比べ、専門学校の場合は歯科衛生士に特化した授業内容となるため、必要な知識や技術を効率的に学ぶことができます。
・実習が充実している
実際の歯科医院のような環境でより現場に近い実習体験をすることができるため、卒業後も即戦力として活躍がしやすいです。
■デメリット
・歯科衛生士以外の就職先が限られる
歯科衛生士に特化している分、短期大学に比べると就職先の幅は少し狭まります。とは言え多くの方が歯科医院に就職をしているため、あまり大きな影響とは言えないかもしれません。
・臨床実習の期間が比較的長い
専門学校に比べるとより実践的なカリキュラムになっているため、実習期間が長い場合が多いです。
しかし、その分現場を経験できる期間も長いため、スムーズに現場で活躍することが期待できます。
短期大学のメリットとデメリット
■メリット
・一般教養も学べる
短期大学では歯科衛生士に菅っする授業以外にも一般教養も学ぶことができるため、幅広い知識をつけることができます。
・学生生活も楽しみながら歯科衛生士について学ぶことができる
短期大学の場合、実習期間も短くサークル活動もできるので、学生生活を楽しみながら歯科衛生士の勉強をしたいという方には短期大学の方が向いているかもしれません。
■デメリット
・就職サポートにムラがある
歯科衛生士に特化した勉強を行うわけではないため、就職などのサポートに村がある場合があります。
歯科衛生士学校にかかる費用
歯科衛生士学校にかかる費用は4年制か、3年制かでまず分かれます。1年にかかる費用はおおむね100万円程度。
4年制になると費用もその分上乗せされます。また、それ以外に入学金が10〜30万円と、そのほかにも教科書代や学校行事、制服代、研修費、実技科目のための顎模型やスケーラーと呼ばれる器具の購入も必要になってきます。
学校によっては、個人購入ではなく、貸出しているところもあるので、費用を安く抑えたい方は学校のホームページなどで確認しておきましょう。
具体的なことは資料を取り寄せる、オープンキャンパスで実際に話を伺うなどしてみてください。
また、金銭的に厳しい方は学費をサポートしてくれる制度もあります。
・奨学金や教育ローンで、お金を借りる
・分納制度で、前期後期や月額などで分割して支払う
・教育訓練給付金制度や支援制度で賢く給付を受け取る
・報奨制度で、授業料の一部を免除してもらう…など
賢く活用して、効率よく資格を取得しましょう。
歯科衛生士になりたい方からよく聞かれる質問と回答
最後に、歯科衛生士を志望している方からよく聞かれる質問と私なりの回答をまとめておきます。
Q.給料はどのくらい?
初任給は22万円、月給は27万円、ボーナス2回で30万円、が平均です。初任給が高め設定のことも多いものの、昇給が少ない印象。
寿退社が多く、長期的に雇用されている人が少ないことも要因のひとつです。
Q.勤務や条件は?
夜勤や休日出勤などはほとんどありません。残業は歯科医院によって異なりますが、多くても1日1時間程度ではないでしょうか。
一般企業よりも福利厚生は少なめですが、ある程度のお給料と勤務時間や日数などを考えると、女性が働きやすい環境と言えます。
Q.歯科衛生士の就職先は?
歯科衛生士として働ける場所は主に歯科医院が多く、ほかには病院、市町村保健センター、歯科関連企業、介護・福祉施設などがあります。
また公務員歯科衛生士という働き方もあり、倍率は高いですが目指してみるのもありです。
Q.将来性はある?
歯科業界では、「治療よりも予防」を重視しており、予防のプロフェッショナルである歯科衛生士は今後も需要があります。
現在は求人倍率20倍といわれていて、歯科衛生士が足りていない状況です。
Q.歯科衛生士の一日の流れを教えてください。
8時半時頃に出社して着替え、オープン前に掃除、滅菌や消毒、器具や物品などの補充、治療の準備を行います。
患者さんの担当を持っている人は30〜60分程度の時間をもらっているので、クリーニングや歯科保健指導を行います。
小さいクリニックの場合は、歯科医師の先生のアシスタントにつくことや受付業務をすることもあります。
お昼休みは60〜90分程度で、午後の診療も午前と似た流れです。18時頃から片付けがはじまり、最後に締め作業をして一日の診療は終了です。
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ライター
歯科衛生士/ライター・動画編集者
歯科医院で歯科衛生士をしながら、歯科メディアにてライター・動画編集者としても発信活動中。
現場で働くからこそわかる、リアルな声をお届けします。