「歯科衛生士になりたいけど、やめとけって言われる」
「働いてみて、歯科衛生士にならなきゃよかったと思っている」
このようにお悩みの方はいらっしゃいませんか。
歯科衛生士に憧れがあったものの実際働いてみると現実を知って後悔した、これから進路を決めるので後悔したくないと思うこともあるのではないでしょうか。
ここでは、実際に歯科衛生士として働いている私が「やめとけ」と言われてしまう理由とその理由に対しての本音を語っていきます。
辞めたい(転職)したいと思っている歯科衛生士は多い?
転職への考え方 | 割合 |
---|---|
考えたことはない | 35.3% |
考えたことがある (歯科衛生士として) |
31% |
考えたことがある (歯科衛生士以外の職) |
14.9% |
現在考えている (歯科衛生士として) |
12% |
現在考えている (歯科衛生士以外の職) |
5.2% |
令和2年 歯科衛生士勤務実態調査によると「転職または現在の勤務先を変えたいと考えたことの有無」について、「考えたことがある」という旨の回答をした歯科衛生士は63.1%となりました。
もちろん歯科医院ごとによって環境が違うため一概には言えませんが、多くの歯科衛生士はどこかしらのタイミングで転職を検討することがあるようです。
歯科衛生士はやめとけと言われる理由
①福利厚生が充実していない
福利厚生とは、健康保険、介護保険、厚生年金保険料、雇用保険、労災保険料、子ども・子育て拠出金をはじめ、住宅手当、など多岐にわたります。
歯科医院のなかでは、社会保険完備と書いておきながら健康保険は歯科医師国保のこともあります。
健康保険は協会けんぽと歯科医師国保がありますが、育児や傷病手当で圧倒的に差があるのでオススメは協会けんぽ。
しかし、協会けんぽに入っている歯科医院は少なく、更に小さい職場だと厚生年金すらないことも。
②休みにくい
歯科業界は人手不足と言われていて、特に歯科衛生士は引く手数多です。就職がしやすい反面、常に人材不足には悩まされているので休みにくい現状があります。
有給休暇も「100%消化!」と書いてあっても年次有給休暇の計画的付与制度で、医院の都合で勝手に半分消化されてしまう制度を設けている歯科医院もあるので気をつけましょう。
自分が働きやすい環境を作るためにも、就業規則は読み込んでおきましょう。
③給料が安い
歯科衛生士は一般的な大学卒の人たちよりも初任給は高い傾向にありますが、昇給の見込みは少ないことも。
また、給料が一見高そうに見えて、残業代込みの設定になっている場合もあります。
残業すると割増分なども追加されるため、毎月かなりの額になります。
早く帰れるのはありがたい反面、給料面で考えると頭を悩ます要因のひとつに。
④業務外の仕事をやらされる
歯科衛生士あるあるですが、後輩の教育、勉強会の資料作り、マニュアル作りなど普段の仕事にプラスαで仕事をさせられることが多くあります。
その分手当が付けばいいのですが、そんな職場は稀です。
⑤人間関係がよくない
歯科衛生士の人材不足の一番の原因は人間関係です。小さい職場だと嫌な人間関係があっても逃げられません。
また、性格が悪いお局歯科衛生士やお局歯科助手、院長先生などが厄介な存在となっていることも。
もちろん中には極めて人間関係がよく働き外のある歯科医院もありますので、事前の見学などでよく見てくことが重要です。
歯科衛生士に向いている人の特徴
細かな作業が得意
歯科衛生士の業務は患者さまの口腔内を健康に保つための歯科予防処置や歯科診療補助がメインとなります。そのため器具の取り扱いや細かな作業が求められます。
正確で慎重かつスピーディーに行うことが求められるため、忍耐力も同時に必要とされます。
とはいえ得意でない人も日々の診療の他、勉強会やセミナーなどスキルを磨ける機会は多くありますので、コツコツ経験を積んでいくことが大事です。
コミュニケーションをとるのが好き
患者さんと接する以上は接客業と同様にコミュニケーションをとることが求められます。患者さまへの説明だけでなく、会話の中で信頼関係を気づくことも重要です。
適切なコミュニケーションをとらないまま診療を進めてしまうと「何で○○するんだろう」「本当に必要なんだろうか」といった不信感につながってしまうこともあります。
また、スタッフ同士のコミュニケーションも重要になります。普段からコミュニケーションを積極的にとっていると、チーム連携が必要な診療現場でスムーズなやり取りができることで診療の質も上がりますし、不明点の質問などもしやすくなります。
どんな人に対しても対等に接することができる
歯科衛生士として勤務していると様々なタイプの患者さまと接することになります。当然、良い人・やりやすい人もいれば、神経質な人や短気な人、いつもせかせかしている人などもいます。
そんな時に「この患者さんは良い人だから丁寧に対応しよう」「この人は感じが悪いから当たり障りなく対応しよう」といったように対応に差が出てしまうのは、歯科衛生士としての役割を全うできているとは言えません。
どんな方が患者として来ても同じように対等に接することができる人は、比例してコミュニケーションも上手く取れるため向いている人と言えます。
向上心がある
歯科衛生士の腕次第で患者さまの満足度も変わる程、歯科衛生士にとってスキルは重要なものです。
常に向上心をもちスキルアップするために勉強会やセミナーに参加することが苦ではない方は、きっとどこに行っても活躍できる衛生士になれるでしょう。
各認定資格含め、スキルアップしたい歯科衛生士におすすめの資格を解説しているので、ぜひご覧ください。
現役歯科衛生士のホンネ
私は「歯科衛生士はやめておけ」とは決して思いません。
私が一番長く勤めた職場はかなり恵まれた環境でした。
社会保険はもちろん完備で協会けんぽ、毎年の健康診断が受けられ、有給消化は自由に取れる。人間関係も良好で業務外の業務もほぼない…
このようにして良い条件で働くことも可能なのです。ただ、その分仕事はレベルの高いことを求められました。
歯科衛生士は自分次第で働きやすい環境に飛び込むこともできる職業です。
自分で目標意識を持ち継続ができれば、より良い環境で働くことができるのが歯科衛生士という仕事です。
諦めずにチャレンジしてみてください。
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ライター
(株)Dental Happy 代表取締役
2008年に歯科衛生士専門の人材紹介会社を設立。これまで2000名を超える歯科衛生士と面談し就職先の決定に大きく関わる。関東エリアにある約2000人の歯科医院経営者より採用担当としての依頼を受ける。株式会社ヨシダや神奈川県歯科医師会より歯科衛生士の採用に関する講演依頼を受け登壇。