月給と手取りの違い
月給とは月に貰える給与の総支給額になります。
“手取り”については、月給 -《保険料 + 年金 + 税金》の金額になります。
引かれる3つのお金
前述したように、月給 -《保険料 + 年金 + 税金》の金額が一般的に手取額と言われるものです。
保険料と年金に関しては、社会保険にクリニックが加入しているかどうかによって異なります。求人に掲載されている金額が同じだったとしても、振り込まれる手取り額はクリニックによってそれぞれ変わってくるのです。
それでは、社会保険料・国民健康保険料 / 国民年金・厚生年金がそれぞれいくら位の料金が引かれるのかを見てみましょう。
控除される項目
健康保険料
日本ではすべての国民が公的医療保険に加入する国民皆保険の制度を採っている。
歯科医師の場合は「社会健康保険」「国民健康保険」「歯科医師国保」のいずれかに加入いているはずです。自身がどの保険に入るかは雇用形態や勤務先歯科医院によって異なります。
常勤の歯科医師の場合、勤務先クリニックが法人である、もしくは個人経営の歯科医院の場合でも常勤スタッフを5人以上雇っている場合は社会健康保険と厚生年金に加入することになります。
非常勤の歯科医師の場合も、所定労働時間の3/4以上、つまり週に30時間以上働いている場合は社会保険に入ることになります。
それ以外の場合、勤務先歯科医院が歯科医師国保に加入している場合はそちらに加入でき、そうでない場合は自分で国民健康保険に加入して保険料を支払うことになります。
年金
歯科医師の場合、厚生年金か国民年金の2択です。
勤務先の歯科医院が社保に加入している場合は、従業員は社会健康保険とセットで厚生年金に加入することになります。
国民年金は全ての国民に加入義務があり、厚生年金に加入すると自動的に国民年金にも加入した扱いです。給与明細状には厚生年金しか書かれていませんが、国民年金の分も合算して天引きされています。
国民年金保険料は一律で定められていますが、厚生年金保険料の料率は、自分の標準報酬月額がどの等級に当てはまるかによって決まる仕組みです。
標準報酬月額については通常、4月〜6月に受け取った給与額によって決まります。厚生年金のみに関しては最大で¥63,5000以上の32等級なので、それより多くなるほど収入に対する保険料は下がっていきます。
雇用保険
失業した際に失業給付を受け取るための保険です。
従業員と雇用主の双方で負担しますが、雇用主の方が多く負担する仕組みになっています。
現在では、勤務医の雇用保険は総支給額(通勤手当等各種手当を含む)の1000分の5の金額がその月に納める雇用保険料になります。
また、健康保険料や厚生年金と違って毎月の給与ごとに算出されるものになっております。
所得税
所得税は年間通じての所得に対してかかってくる税金ですが、一括で納めるのは納税者にとって負担が大きいです。
そこで月々の給与から源泉徴収として差し引く方法を取っていますが、毎月の給与から差し引かれるのはおおよその金額です。
最終的に年末調整や確定申告でその年の所得が確定した後、納めすぎていたら還付、足りなければ追加徴収されることになります。
月々に源泉徴収される金額は「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」によって定められています。
まず支給額のうち課税対象となる金額の合計を出したあと、そこから社会保険料(健康保険・厚生年金など)の金額を引き、その金額を月額表と照らし合わせます。
住民税
自身が住んでいる自治体に収める税金。都道府県と市区町村の2つに納めますが、どの自治体でも両方合わせて課税所得の10%程度になります。
住民税も所得税と同じように前年の所得に基づいて決定されます。
住民税(所得割)= (給与所得控除後の給与額 - 所得控除)× 10% - 税額控除
住民税 = 住民税(所得割) + 住民税(均等割:5,000円)
納める方法は給与から天引きされる「特別徴収」と、自分で納付する「普通徴収」のパターンがありますが、特別徴収の場合は翌年6月から来年の5月まで12分割で支払います。
勤務医の平均年収でシュミレーション
ここまでで歯科医師の手取りの決まり方・控除金額について見てきました。
歯科医師の平均年収が720万円程度、月収換算すると60万円です。
「令和4年現在」「東京都在住」「毎月コンスタントに60万円貰っている」「協会けんぽと厚生年金に加入」「扶養家族はいない」という歯科医師の方を仮定すると、下記のような内訳で手取り額は482,216円となります。
総支給額:600,000円
↓
健康保険料:- 28,939円(協会けんぽの保険料額表で33等級)
厚生年金保険料:- 53,985円(協会けんぽの同表で30等級)
雇用保険料: - 3,000円(総支給額に対して1000分の5)
↓
源泉所得税: 31,860円(上記の保険料を引かれて残った514,076円と、国税庁の給与所得の源泉徴収税額表を参照)
↓
482,216円
住民税の徴収方法が特別徴収の場合は、ここから前年度の所得に基づいた住民税額が給与から天引きされます。