歯科医師として経験を積んでくると、「開業」を考える先生は多いです。
そんなとき、開業するメリットとデメリットは気になりますよね。
そこでこの記事では歯科医師が開業するメリット・デメリットをまとめました。
記事を読むと、歯科医師として今後のキャリアを考える指標を知ることができます。
開業を検討している先生はぜひご覧ください。
開業してうまくいくと、手元に残るお金は増えます。
・多くの患者さんが来院する
・ひとり当たりの単価を高くする
これらの組み合わせで、収入を伸ばすことができます。
うまくいった場合、勤務医の収入とは比較になりません。収入は青天井です。
さらにある程度収入がふえてくると、法人へのステップアップすることも多いです。
法人にして節税することで、手元に多くの資金を残すことも可能です。
地域に貢献することで評判があがり、間接的に収入が増えることもあります。
すべては自分の腕次第ですが、開業すると「収入」には夢があります。
自分の好きなように診療することができます。
自分の病院ですから当たり前ですが、大きなメリットです。
具体的には、
・診療方針
・立地
・働き方
・診療曜日
・診療時間
・スタッフの採用
・内装
・取引き業者
…といった感じです。
勤務医のときには上司の指示を仰いでいたことでも、開業すれば思ったとおりにきめることができます。
✔︎ 将来的に時間が確保できる
経営が軌道に乗ると、誰かに任せることもできます。
そうすると、時間に自由が生まれることもメリットです。
シンプルに経験値があがります。
開業する…という経験は誰でもできることではありません。
この経験は人生での大きなメリットです。
開業の準備、開業当初、開業数年後…とそれぞれの時期に貴重な経験を積めることができます。
よいこと・イヤなこと・うまくいったこと・失敗したこと...すべての挑戦したことは必ず将来の糧になります。
開業すると、院長になります。
一番上の立場です。
もちろんその分責任はありますが、同時にやりがいも生まれます。
「立場が人を作る」...という言葉があるように、責任ある立場になることでそれにふさわしい人間に近づくことができるはずです。
学生時代にフラフラしていた人でも、院長となってからは人が変わったようにまじめになった例も多いです。
法人化して、理事長になっている人もいます。
逆に院長になったことで傲慢になったパターンもありますが、それでも経験を積むことはできます。
人間的に成長できる可能性がある...というのは大きなメリットです。
開業すると定年がありません。
病院のしめどき・引き際...は自分で決めることになります。
会社員のような定年のある仕事に不安を感じるひとにとってはメリットです。
クビになる心配もありません。
保険医を剥奪されたり、歯科医師免許を失ったりと、よほどの状況にならなければ病院は継続します。
身体が元気であれば、いつまでも好きなだけ働くことができます。
続いて、デメリットを紹介します。
開業するためには資金がかかります。
機材を揃えたり、スタッフを募集したり、必要によってはテナントを借りたりする必要があるからです。
そのため歯科の開業には、5,000万〜1億円が必要と言われています。
このような大金を自己資金で全て賄うことは難しく、銀行から融資を受けて開業する場合も多いです。
そのため、事業に失敗した場合、借金を背負う可能性があります。
これは開業するうえで考えておかなければならないデメリットです。
特に開業したての時期は、患者さんが安定せず資金がどんどん目減りしていくパターンもあります。
開業すると収入が不安定な時期が必ずあります。
勤務医と違って最低保証があるわけではなく、患者さんの数がダイレクトに収入につながります。
・開業したばかりで患者さんが来ない
・スタッフが辞めて患者さんが回らない
・ちかくに新しく歯科医院が開業した
・地域の人口が減っている
・わるい噂がたってしまった
などの理由で、患者さんが増えないと収入はふえるどころか、下がることもあります。
収入が安定しない可能性...というのはデメリットになります。
医院に関わる全ての責任を負うことになります。
開業すると院長でであると同時に、経営者でもあるからです。勤務医よりもはるかに、責任の範囲は広がります。
厄介なトラブルやクレームへの対応が必要となる場面もあります。
・経営の方針
・集患の対策
・患者からの訴訟
・スタッフの労務管理
…など責任の範囲は多岐に渡ります。
こういったリスクを24時間背負わなければいけないプレッシャーはデメリットになります。
開業するということは、その土地に落ち着くということです。
つまり、この先ずっと同じ場所で働き続ける...ということになります。
勤務医の場合は、転職することができます。
ですが開業するとそういうわけにはいきません。
悪い評判が立ったとしても、不要なトラブルに巻き込まれても、そこで仕事し続けなければいけません。
そこでの仕事がモチベーションが上がらなくても、飽きてしまっても、同じです。
同じ土地で働くということは、こういったデメリットをはらんでいます。
院長は孤独です。
仕事中、同じ立場の人は誰もいません。
日常的にかかわるのは、従業員と患者さんと取引業者...だけです。
そのため自分の歯科医院の中には、同じ目線で愚痴を言い合ったり、励ましあったりする人は存在しません。
大学の同期や、歯科医師会の先生同士では話すことがありますが、それは日常的ではありません。
そのため孤独を感じながら決断する...という状況になります。
開業するということは、孤独に打ち勝つということでもあります。
今回は、歯科医師が開業するメリット・デメリットをまとめて紹介しました。
歯科医師にとって、開業するかどうか...は今後のキャリアにかかわる重要な問題です。
いままでは「開業する」ことが当たり前でした。
実際、1990年代は40代の歯科医師の開業率は77%もありました。
これが近年は53%まで低下しています。
つまり「開業しない」を選択する歯科医師も増えていることになります。
これからは少子化・高齢化など、さまざまな問題を抱える日本。
開業するかしないか...をしっかり考えることは人生のリスク管理にもつながります。
本記事で紹介した「開業するメリットとデメリット」を、キャリアプラン形成の参考にしてみてください。