歯科医師ってどんな理由で退職するのだろう...と気になったことはありませんか?
退職が頭の中をよぎっているときに「他の歯科医師がどういった理由で退職しているか」を知ることは、今の不安や悩みを解決するきっかけになります。
この記事では、
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今の職場に不満を抱えている
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円満に退職したい
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よい転職先をみつけたい
…と考えている歯科医師に向けて、『歯科医師の退職理由TOP10』を紹介します。
この記事を書いている私は歯科医師です。
知り合いの歯科医師50人からリアルな情報を集めてみました。
私自身も4回の退職経験があり、その経験を交えつつまとめます。
現役歯科医師ライター:しろたぬ
この記事を読むと、歯科医師にあるあるの退職理由がおおよそわかりますので、退職を悩んでおられる歯科医師の方はもちろん、スタッフの離職に悩んでいる院長先生も是非ご覧の上、何かお心当たりがないか確認してみてください!
歯科医師のよくある退職理由 TOP10
さて、私がこれまで見てきた中で多い退職理由は以下10つです。
それぞれ見ていきましょう。
①:院長と合わない
院長と合わない…は歯科医師の大きな退職理由です。
勤務の歯科医師として働く以上、仕事のボスである「院長」との関わりは避けて通れません。
合わなくなる理由としては、
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治療方針があわない
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医院の掲げている理念と実際にやっている現実が違いすぎる
…といった歯科医師として合わない場合と
…のような人間として合わない場合があります。
どちらにしても院長との関係が悪化すると、仕事が圧倒的にやりにくくなることは間違いありません。
中には陰湿なイジメをしてくる院長や、人格否定をしてくるパワハラ院長も存在します。
心身の健康が脅かされる場合は早めに退職を考えてもよいかもしれません。
②:給料が低い
院長と合わないと並んで多いのが、「給料が低い」という理由です。
建前を除けば、仕事をする理由の一つに「給料」は入るはず。
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月給が上がらない
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周りと比べて給料が低い
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交渉しても応じてくれない
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高収入の期待できる歯科医院に就職できそう
このように感じると、退職を考えるようになります。
実際、「同期の〇〇先生はいくら稼いでるらしいぞ」...のような話を聞くと、仕事のモチベーションが上がらなくなったりします。
給与は生活に関わる重要な要素ですから、無視はできません。
とはいえ、給料に見合った働きができないと、転職しても評価されないパターンもあります。
冷静な自己分析も必要です。
③:開業することになった
開業のための退職はあるあるです。
勤務医の歯科医師の中には「開業」を目標にしている先生も多くいます。
事実、年々開業率は減ってきたとはいえ、いまも歯科医師の約60%が開業しています。
開業すると、シンプルに自分の理想通りの診療ができ、収入が上がる可能性もあります。
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最初から開業を目標に技術の習得や経営の方法を勉強する先生
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まったく開業希望ではなくても途中から開業を考え始める先生
など色々です。
準備に数ヶ月、長いと数年ほどかかるため、退職する時期が事前にわかるのが特徴です。
元勤務先と良好な関係を保ちつつ、開業後も協力しあっている先生も多いです。
④:歯科衛生士・歯科助手から嫌われる
歯科衛生士・歯科助手さんから嫌われる...は退職の理由になります。
歯科医師として仕事中のほとんどの時間を過ごすのは、歯科衛生士・歯科助手さんです。
そのため、なんらかの理由で嫌われた場合、仕事がしづらくなります。
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無視される
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協力的でない
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コミュニケーションがとれない
このような状態になってしまうと、診療だけでなくメンタルにも影響します。
なかでも院長の奥様が歯科助手だったり、10年戦士のお局歯科衛生士がいる職場は要注意です。
彼女たちの医院内での権力が強すぎて、性格が合わないと一発アウト...なんていう歯科医院も。
スタッフから嫌われないように仕事をする訳ではありません。
診療の責任は歯科医師にあるので、はっきり意見を伝えることは必要です。
ですが、結果としてスタッフとの関係がうまくいかないのであれば、ムリに留まる必要はありません。
⑤:スキルアップが望めない
この歯科医院ではもうスキルアップが望めない…と感じた場合に退職を考える歯科医師はわりと多いです。
歯科医師としてスキルアップは必要不可欠です。
キャリア形成にもつながりますし、なにより患者さんのためになります。
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院長が何も教えてくれない
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この医院で学ぶべきことがなくなった
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診療で忙しすぎてセミナーや学会にいけない
このような理由でスキルの向上が期待できなくなると、歯科医師としては不安と不満が蓄積していきます。
歯科業界は技術や道具が日々アップデートされています。
そのため
「スキルアップできない絶望感」は退職を考えるきっかけになりやすいです。
「学ぶ機会」は自分で切り開いていく必要がありますね。
⑥:生活環境の変化
生活環境の変化で退職することもよくあります。
現実問題として働き続けることができなくなります。
雇用側としても、引き止めが難しい理由です。
よくあるのは
のようなライフイベントです。
遠方に引っ越してしまう場合は物理的に通うことができません。
妊娠や介護で退職する事例も多くあります。
とはいえ、妊娠や介護では育休や介護休などの制度が整っていれば、一度休職できる歯科医院もふえてきました。
事前に確認しておくことは大切です。
どちらにしても、生活環境の変化は仕事環境にも強い影響を与えます。
⑦:新しい分野を勉強したい
新しいジャンルを勉強するために退職する歯科医師もいます。
ひとつの歯科医院ですべてを勉強できる…というわけではありません。
一言で歯科といっても 補綴、保存、外科、小児、インプラント、矯正、摂食嚥下 ...など分野が広く、どれをとっても奥が深いです。
そのため、いま勤務している歯科医院で学べない分野は他で学ぶしかありません。
退職せずにセミナーや学会で勉強することもできます。
一方で、専門的にしっかり学ぶために専門医が在籍する歯科医院に転職したり、大学に戻る先生もいます。
学びたい...という意欲は環境をかえる十分なきっかけになります。
⑧:労働条件が悪い
最近は過労や仕事によるストレスで働けなくなる人も増えています。
そのため、ワークライフバランスは大切です。
歯科医院の勤務形態はさまざまです。
その中で、
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昼休みがない
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残業代が出ない
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有給がもらえない
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終わる時間がおそい
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土日も仕事をしている
といった環境に身をおいていると、健康を損なう可能性があります。
労働条件に疑問がある場合は院長に交渉することもできますが、「交渉できない」「交渉しても変わらない」...はストレスが積もっていくことなります。
いまは雇用契約ではなく業務委託で契約することで、なにも保証がないまま労働力だけ搾取しようとする歯科医院もあるようです。
心身が壊れてしまう前に環境を変える勇気も必要です。
患者さんを治療するためには、自分自身が健康でなくてはなりません。
⑨:通勤時間の長さ
意外かもしれませんが、歯科医院と自宅との距離が退職の理由になることがあります。
年齢を重ねると、いままで疲れなかったはずの通勤が徐々にしんどくなってきます。
歯科医師は仕事中に動くことがすくない職業なので、意識しないと運動不足に陥り体力がなくなってきます。
そのため個人差はありますが、若いときより「通勤」に抵抗が出てくることは多いです。
逆に、職場と近すぎる場合もストレスになることもあります。
なにかあったらすぐに呼ばれる、患者さんやスタッフとプライベートで会いやすい といった理由で、仕事とプライベートの切り替えが難しくなることがあるからです。
物理的にも適度な距離間を保つことは大切です。
⑩:不祥事を起こした
最後は、不祥事による退職です。
これはまれにあります。
実例としては、
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不倫がバレた
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病院のお金を横領した
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スタッフにセクハラした
…のような行為です。
個人として今後のキャリアにも影響するだけでなく、歯科医師としての信頼が失墜します。
歯科業界は狭いので、すぐに噂は広まります。
不祥事は起こさないようにしましょう。
まとめ:退職は次へのステップ
今回は歯科医師のよくある退職理由 TOP10を紹介しました。
退職の理由は「今の歯科医院への不満」だけでなく「キャリアのため」「私生活の変化」など多岐に渡ります。
退職を考えているときはどうしても視野が狭くなってしまいがちですが、他の歯科医師の退職理由を知ることは、客観的に自分を見つめ直す機会になります。
なにより歯科医師として働くためには体が資本です。
心身の健康を守ることを忘れないようにしてください。
退職に悩んでいる歯科医師の先生にステキな未来が開けますように。
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WRITER
しろたぬ
歯科医師・ライター
大学病院での勤務を経て、現在はお年寄りの"モグモグゴックン"を診察するフリーランス歯科医師。普段は自身の介護経験を活かしつつ精神病院や老人ホームの高齢者に往診(訪問歯科)し、高齢者医療に従事している。患者さん目線に立った介護と医療の見解を発信するTwitterはフォロワー1万人を超える。また、メディアやブログ(しろたぬWEB)においては、歯科業界の転職や恋愛事情などに関して、自身の経験に基づくリアルな情報を幅広く発信中。
しろたぬWEB:https://shirotanu.com/
Twitter:https://twitter.com/shirotanu_dds