「歯科助手と歯科衛生士の違いを知らない」
「歯医者にいる看護師さんみたいな人だよね」
歯医者には「歯科助手」と「歯科衛生士」がいますが、見た目で判断もできず仕事内容も似ているような似ていないような…。
そもそも「歯科助手」と「歯科衛生士」が違う職種ということも知らない方もまだまだ多いのが現状です。
そこで今回は、「歯科衛生士と歯科助手はどう違う?」という内容で仕事やお給料の違いも交えて詳しく解説します。
歯科衛生士と歯科助手の違い
項目 | 歯科衛生士 | 歯科助手 |
---|---|---|
資格 | 国家資格 | 無資格でも可 |
教育期間 | 3~4年(専門学校、短大、大学) | 特に必要なし |
仕事内容 | 診療補助、予防処置、保健指導 | 受付、会計、事務、診療補助 |
口腔内の処置 | 可能(歯石取り、フッ素塗布、歯磨き指導など) | 不可 |
給与 | 約350万円/年 | 約280万円/年 |
職務範囲 | 患者の口腔内処置、健康指導、クリーニング | 診療準備、患者案内、器具管理、在庫管理 |
向いている人 | 患者の健康管理に積極的に関わりたい人 | サポート業務に興味があり、気配りができる人 |
歯科医院には、先生と呼ばれる歯科医師のほか、歯科衛生士、歯科助手がいます。
歯科衛生士と歯科助手の一番の違いは国家資格を持っているかどうかです。
歯科衛生士は3~4年間学校に通って知識と技術を身につけ、国家試験を通過した者だけがもらえる資格。
一方、歯科助手は資格がなくても働くことができます。
仕事内容も似ているようですが、できることが違っています。
歯科衛生士は患者さんの口腔内を触ることができますが、歯科助手はできません。
歯科医師の診療の補助や受付・事務、雑務などを行なうことがメインで、口腔内を触るような行為は違法。
絶対的・相対的歯科医行為ともに法的に認められていません。
歯科助手がしてはいけないこと7選
ただ一部では、歯科助手にも診療行為をやらせてしまっている歯科医院があるのも実情です。
バレてしまったら院長先生はもちろん、行なったスタッフも法的に罰せられるので注意しましょう。
具体的にどんなことをしてはいけないのか、「歯科助手がしてはいけないこと7つ」を簡単にご紹介します。
- ①麻酔を打つ
- ②歯を抜く、削る
- ③詰め物や被せ物を装着する
- ④型取りをする
- ⑤歯石取り
- ⑥フッ素を塗布する
- ⑦歯ブラシ指導をする
ほかにも印象採得、咬合採得と呼ばれる歯の型取りも口腔内を触る行為なのでできません。(歯科医師が型取りをするための前準備をすることはできます)
歯科助手と歯科衛生士の給与や条件
歯科助手の平均給料は280万円前後、歯科衛生士の平均給料は350万円前後が相場です。
働く条件はほとんど変わらず、有給休暇や勤務時間などに違いはありません。
勤務年数にもよるかもしれませんが、3年間学校に通ったとしても歯科衛生士の資格を取ってしまったほうが生涯年収は上がるのではないでしょうか。
歯科助手は歯科医師、歯科衛生士のサポート業務がほとんどなので、いろんなことに気が利く、人の役に立ちたい、誰かのサポートをするのが得意といった方に向いています。
歯科助手と歯科衛生士の仕事内容
歯科衛生士が歯科助手の仕事も行なうことはあるので、仕事内容は似ているところがあります。
完全に分業している歯科医院では、受付のみを担当する歯科助手、歯科医師のサポートのみをする歯科助手、持ち患者さんがいる歯科衛生士と分かれています。
小さい歯科医院では、これらが混ざってすべて対応していることもあります。
歯科助手の仕事内容
受付では、患者さんが来院されたら保険証の確認をし、電話がきたらアポイントの調整、診療が終わった患者さんの予約や会計、業者さんへの対応、事務作業、その他の雑務などをします。
治療の流れなどを把握してアポイントの管理をスムーズに行なう必要があり、お金の管理も任されていて責任ある仕事です。
一方、診療補助はまったく違う仕事で、歯科医師の診療の隣にぴったりとくっついて、治療の準備、患者さんのご案内、診療中のアシスト、片付けのほか、器具の洗浄・消毒・滅菌、技工物の管理、在庫チェック、材料の補充、掃除、洗濯などをします。
治療の流れや使用器具、先生の治療のクセなどを学び、先読みして行動することが求められます。
歯科衛生士の仕事内容
患者さんを診ていくことができるので、基本は患者さんの担当を持ち、1列自分のアポイントが埋まるような仕事になるでしょう。
よって、自分が使用する器具の準備や片付け。患者さんの口腔内をチェックし、必要な検査、ドクターへ的確な報連相。必要に応じてPMTCやスケーリングなどのクリーニング・口腔ケア、食生活指導や歯みがき指導、フッ化物塗布などをします。
歯科医師と連携してプレーしていくものの、担当を持つと自分のペースで仕事をしていくことができます。
また、事前のカルテチェック、サブカルテや歯科衛生実地指導用紙の記入などの事務的な仕事もします。
歯科助手から歯科衛生士になるには
歯科助手には通信教育などの資格などありますが、どちらかというと現場で覚えたほうがラクだと思います。
歯科助手として働き始めると、歯科衛生士の仕事に興味が出てくることあるかもしれません。
では、歯科助手から歯科衛生士になるにはどうしたらよいのでしょうか。
実は、通信教育や独学ではだめ。
どれだけ経験があって知識がついていたとしても、大学、短大、専門学校いずれかの歯科衛生科のある学校に入らなければなりません。
そして、国家試験を乗り越えた者が歯科衛生士になれます。
歯科助手を経験している人は、夜間の学校を選んで、日中働きながら夜間の学校に行く選択をする方も多いです。
勤務先から援助してもらえる、勤務先を実習先として希望できる、学校での実技テストの練習をさせてもらえる…など、歯科助手から歯科衛生士になるメリットはたくさん。
もちろん現場で得た知識や技術は、学校でもとても役に立ちます。
現場でわからなかったことを学校で学んで、学校で学んだことを現場ですぐに活かすことができるので、より深い学びが得られるのです。
いかがでしたでしょうか。歯科助手、歯科衛生士の仕事は似通っている部分もあるものの、はっきりとした違いがあります。
歯科助手、歯科衛生士もなくてはならない仕事なので、ご興味ある方はぜひ歯科業界で働いてみてくださいね。
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ライター
歯科衛生士/ライター・動画編集者
歯科医院で歯科衛生士をしながら、歯科メディアにてライター・動画編集者としても発信活動中。
現場で働くからこそわかる、リアルな声をお届けします。