「先生の診療が延びて残業しているのに残業代がない」
「残業代を稼ぐためにダラダラ仕事をする人がいて早く帰ることができない」
このように悩む方もいらっしゃるのではないでしょうか。どちらもよく起こる出来事ですよね。
残業代は揉めることの原因のひとつでもあるので、歯科衛生士の残業代の支払いの実態について、事前に知って対策を考えていきましょう。
そこで今回は歯科衛生士の残業と残業代の支払いに関する実態と、残業の種類と正しい残業代の計算方法を徹底解説していきます。
残業の種類はなにがある?
残業手当とは?
残業とは、労働基準法で定められている「週40時間、1日8時間」の法定労働時間を超えて働いた時間を言います。
実働時間が法定労働時間を超えたときにはじめて残業代が支払われます。
ただし例外もあり、特例事業所は週44時間の労働時間が認められています。特例事業所とは「常時10人未満の労働者を使用するもの」で、多くの歯科医院はこれに当てはまってしまうのです。
よって、週5勤務でも一日の労働時間が長かったり、週6勤務で土曜だけ半日勤務があったり、といった歯科医院が存在してしまうのでしょう。
ちなみに、下記の場合は実働時間に当てはまらないので要注意。
・昼休みなどの休憩時間
・遅刻や早退したとき
・休暇、有給休暇を取得したとき
・私用のための時間…など
時間外手当とは?
残業手当のほか、時間外手当という言葉もあります。
残業手当は「医院が決めた労働時間を超える残業」に対する手当で、法定内残業と法定外残業の両方が含まれます。
法定内残業とは、医院が就業規則などで定めた所定労働時間を超えて、労働基準法で定められた法定労働時間内の範囲で行われた残業のこと。この場合は、通常の賃金のみで残業代は発生しません。
一方、時間外手当は法定外残業に対する手当とされています。時間外労働は、労働基準法によって割増賃金(残業代)を支払わなければなりません。
一部の歯科医院で適用されているのが「みなし残業」です。
「固定残業制度」とも呼ばれていて、給料にあらかじめ一定時間外の残業代を含ませておくもの。
残業代を含めたお給料を提示できるので一見お給料が高いように見せることができ、ダラダラと働くなどの対策ができるので、取り入れている医院は多いです。
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歯科衛生士の残業と残業代の支払いに関する実態
みなし残業は早く終われば得な反面、終わらなければサービス残業をせざるを得ません。
歯科助手さんやクリーンスタッフさんがいてくれれば早く終わらせることができますが、メインテナンスがぎっしり入っている場合、準備や滅菌などを別の時間に対応しなければならないこともあり、お昼休みを削ったり、夜に残ったりする必要があります。
お昼休みも盲点となっていることがしばしば。お昼休みに留守電にしない医院では、電話対応や来客対応をしなければなりません。
初診時や話の長い患者さんに当たるとすぐに切れるとは限らず、休憩時間がどんどん削られていってしまいます。
時給換算したら大きな額となりますが、残業として考えてくれる医院は少なめです。
一番は、仕事中は全員が集中してテキパキと動き、それでもどうしても仕方がなく残ってしまうときはきちんとお支払いしてもらえるような環境です。
正しい残業代の計算方法と請求するためのポイント
残業代の正しい計算方法は、1時間あたりの賃金の25%増しです。
「時給×1,25(割増率)×残業時間」で算出します。
1時間あたりの賃金は「月給÷所定労働時間÷所定労働日数」で求めます。このように、残業すると結構な額をもらえるので残業したくなる気持ちもわかります。
計算を間違えないためにも、先程も申した通り、自分の医院は「労働基準法で定められている週40時間、1日8時間」なのか「週44時間の労働時間の特例事業所」なのか確認してみてください。
ちなみに、みなし残業がある歯科医院でも、実際の残業時間がみなし残業を超えた場合、本来は追加で残業代を支払わなければなりません。
みなし残業代を支払っているからといっていくらでも残業させていいわけではなく、医院側は別途残業代を支払う義務があります。
ところが「みなし残業代を支払っているから」と、残業代を支払おうとしない医院がほとんど。未払いをめぐるトラブルも相次いでいます。
しかし、泣き寝入りするだけではなく、今後のためにも院長先生に交渉してみてはいかがでしょうか。
院長先生も退職されたら困るでしょうから、辞めることも視野に入れつつ、いまの医院でできることをまずは考えてみることをオススメします。
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ライター
歯科衛生士/ライター・動画編集者
歯科医院で歯科衛生士をしながら、歯科メディアにてライター・動画編集者としても発信活動中。
現場で働くからこそわかる、リアルな声をお届けします。