皆様の中には海外で働くことに憧れを持っている歯科衛生士の方もいらっしゃるのではないのでしょうか。
憧れを抱きつつも、実際どんな違いがあるのかわからないから、一歩が踏み出せない…という方も多いのでは?
一言でいうとアメリカと日本の歯科衛生士では大きく違う点があります。
一体どこが日本の歯科衛生士と違うのか?
今回は日米二カ国の歯科衛生士事情を比較してご紹介したいと思います。
この記事を読んで興味を持った方はぜひ一歩を踏み出してみてください。
日本:95%以上
アメリカ:約75%
まずは歯科衛生士資格の合格率から。日本では必要な勉強をしていれば殆どの人が合格できますが、アメリカではそういうわけにはいかないようですね。実技試験もあるため、準備しなければならない項目が多そうです。
これは資格取得者が実際に歯科医院などに就業している率です。
日本:約35%
10人に3〜4人しか歯科衛生士として働いてない計算になります。安くはないお金をかけ、苦労して取得した免許なのに勿体ないですね…。
アメリカ:約100%
日本と比較すると驚くべき数字です。つまり、結婚や出産で引退を考える人はほぼ皆無で、一時的な産休はあってもすぐ復帰をする歯科衛生士が多いことが伺えます。
アメリカでは単発での歯科衛生士のパートや、ベビーシッターやナニーを雇うのが比較的容易なため、子育てしながらでも働きやすい環境が整っていることも理由の一つかもしれませんね。
日本:約340万
アメリカ: 約770万( $72,910)
物価の違いはあれど、倍以上の差があります。日本では歯科衛生士の年収では一家の大黒柱としての収入としては厳しいですが、アメリカでは歯科衛生士の年収が非常に高いため、家族を養うことも可能ですね。
もちろん、都心と地方で物価や給料水準が違うのはアメリカも日本も同じで、給料が高いからといって良い暮らしができるとは限りません。
日本:40〜45時間
アメリカ:30〜40時間
就労時間にあまり大きな変化はないようですね。しかし、アメリカの歯科衛生士は自分の患者さんの診療が終わったら勤務終了することが多いです。患者さんがいなくてもクリニックの終了時間までは待機しなければならない日本の歯科医院事情とは異なります。
日本:就職課にある求人票の閲覧、ウェブサイトの専門サイトに登録
日本では求人票やウェブサイトを見て、自分でクリニックに見学・面接の申し込みを行う、またはデンタルハッピーのような求人紹介会社に登録をし、職探しをするのが一般的です。
日本では給料や就労時間が事前に明記されているケースがほとんどで、条件が分かった上で動くケースがほとんどです。
アメリカ:掲示板やウェブサイト等の求人情報の閲覧
アメリカではcraigslistなどの掲示板を閲覧し、目当てのクリニックに履歴書をメール等で送り、返事を待ちます。そこで見学・面接を取り付け、面接の時に具体的な条件面(給料や就労時間等)について話し合うため、掲示板を閲覧した時点では給料や就業時間などの条件が分からないことが多いです。
簡潔に言うと日本の歯科衛生士にできて、アメリカの歯科衛生士にできないことはほぼありません。
例えば以下の業務はアメリカで認められています。
・ 局所麻酔(別途受験が必要、州によって可能な麻酔の種類に違いがあります)
・ 笑気吸入
・ レントゲン撮影
レントゲンは日本で主流のパントモ撮影をすることは少ないです。逆にアメリカでよく撮影されるのはバイトウィング(咬翼法)です。
基本的には年に一回、虫歯や歯周病のリスクが高い患者さんは半年に一回撮影します。
また、保険の種類にもよりますが3年に一回は全顎のデンタルとバイトウィングを撮影することができます。
行うことが可能な業務域が広い分、資格取得が日本より難しく、高い年収が約束されているのも納得ですね。
日本ではスケーリングだけでなく、アシストや受付業務、消毒滅菌などの雑用も全てオールマイティにこなす歯科衛生士も多いですが、アメリカでは歯科衛生士はあくまで歯科衛生士業務しか行いません。
自分に与えられたチェアーに鎮座し、器具の準備や片付けなどは歯科助手が行います。歯科衛生士はチェックアップに来た患者さんのレントゲンを撮影し、スケーリングを行い、必要な処置をしていきます。
日本の歯科衛生士は歯科医師の指示や指導がないと動けないため、歯科医師のアシスタント的存在という感じが否めません。
しかし、アメリカの歯科衛生士はある程度の権限を持って働くことができるので、予防のスペシャリストとして歯科医師と対等に対話し、責任は大きいですが仕事の充実度は高いように思えます。
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ライター
歯科衛生士/ライター・動画編集者
歯科医院で歯科衛生士をしながら、歯科メディアにてライター・動画編集者としても発信活動中。
現場で働くからこそわかる、リアルな声をお届けします。