そこで必要になるのが新人に対するオンボーディング育成です。入社前から準備をすることでスムーズに働き始めることができ、早期退職の防止や入社後の定着につなげることができます。実際に導入をした企業や歯科医院でも定着率向上による採用コストの軽減、早期スキルアップによる業績への貢献という面でメリットを感じています。
オンボーディング導入に向けて
とはいえ、今まで特に入社サポートをしてこなかった歯科医院の場合、一気ににやり方を変えるのは、既存スタッフの負担もあるため得策ではありません。できること・やれることから導入をしてみるといいでしょう。
①全員で育てる環境
オンボーディングには既存のスタッフの協力が必要不可欠です。歯科業界でもっとも多い退職理由の一つが人間関係です。特に後から入ってくるメンバーからすると、すでに出来上がっている組織に飛び込むというのは非常に不安に感じるものです。
院長だけではなくスタッフ全員で積極的にフォローをするという意識を入社前から持つようにしましょう。
Google社の社内調査では、入社初日に既に受け入れ態勢が整っている環境の場合、入社後3か月のパフォーマンスが30%アップしたという結果が出ているそうです。入社後はメンターをつけることで、聞きにくいことや業務以外の人間関係についての悩みなども相談できる体制を作ると良いでしょう。
②目標の設定・PDCA習慣
忘れてしまいがちなのが「目標の設定」です。歯科衛生士の場合、一般企業と比べ数値化できるものが多くないため目標がぶれやすいです。そこでぜひ導入したいのが「SMART」と呼ばれる目標設定法です。SMARTとはそれぞれ以下の頭文字です。入社直後は1か月単位、3か月単位と面談を行いながら目標を設定していくと良いでしょう。
③成功体験
成功体験とはその名の通り「過去に成功した体験」です。どんな人にでも苦手なことや苦難を乗り越えた経験があるのではないでしょうか。
これを乗り越えることで「自分でできた」という成功体験を感じ、自信を積み重ねていくのです。
歯科衛生士の場合も同様で、入社したての方は、小さな成功体験を積み重ねていくことで自信をつけ、業務にやりがいを感じてもらえるでしょう。「バキュームができた」「受付ができた」ということでも少しずつステップアップしていくことが大切になります。
オンボーディングを成功させるために大事なこと
具体的な取り組みについて紹介しましたが、オンボーディングを成功させるために大切なポイントは3つです。
特に多くの歯科医院では入社数日間は迎え入れの体制を作るものの、その後の計画を立てないまま進めてしまい、結果的に「研修をやったはずなのになかなか定着しなかった…」ということになってしまがちです。
そうならないためにも中長期的に長い目で見た計画を立て、継続して実施することが不可欠になります。もちろん院長だけの力ではなく、スタッフ全員でフォローできるような体制を作っていくのがベストです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。オンボーディングについては言われてみると当たり前に思えることもありますが、実施できていない歯科医院が多いのが現状です。オンボーディングは組織づくりの要の一つでもあり、入社後にいち早く力を発揮できるように、一つずつ進めてみるのはいかがでしょうか。