多くの歯科医院は3月は新卒採用を重視する傾向になりますが、中には多少キャリアのある歯科衛生士の採用を強く望んでいるケースもあります。
その際は下記の2つ理由のどちらかであることが多いです。
経験者にとって受かりやすいのは、もちろん①の理由で募集をしているクリニックです。
②は応募がバッティングした際は、新卒を優先させるクリニックの方が多いと言えます。
キャリアがある歯科衛生士の場合、面接時にクリニックが必ず考えることがあります・・・
それは・・・
だからこそ、面接時に相手から見られているのは【謙虚さ】と【臨機応変さ】。
この点が相手にしっかりと伝えられれば、年齢の差など関係なくなります。
歯科衛生士としてある程度のキャリアを積んでいくと仕事に自信がでてきますが、転職時にはその自信が邪魔をしてしまうこともあります。長年の経験やスキルが武器になる反面、頑固で面倒くさい印象を与えて不採用となることも…。
扱いづらいキャリア歯科衛生士になるか、有能なキャリア歯科衛生士になるかは、謙虚さや臨機応変さなどが求められるということです。
歯科医院側から見たキャリア衛生士のメリット・デメリット
歯科医院の立場で、キャリア衛生士を雇うときのメリットやデメリットを考えていきます。
小さい規模の歯科医院だからこそ、周りのスタッフとの調和が重要。歯科医院としては、どれだけ人材不足でも、新しい人を雇うときは慎重になることが多いと思います。
特にキャリア歯科衛生士を雇う場合は、それが顕著かもしれません。
見学や面接時に、キャリア衛生士を雇うメリットがデメリットを上回ると分かれば、採用率もぐっと上がるのではないでしょうか。
歯科医院がキャリア衛生士を選ぶメリット
① 率先力を期待できる
経験を積んでいるからこそ、できない処置はほとんどないはず。医院の流れを軽く説明するだけですぐに率先力になってくれると期待されます。
人が急に辞めたときなど、患者さんを早急に診てもらいたいときに採用されることが多いです。
② 新たなノウハウを知ることができる
別の医院で勤務してきたノウハウを自院でも取り入れることができます。
違う派閥の勉強会に所属していた場合は、違った視点での考え方などを知ることができるので、さらなる成長をめざしている院長先生から重宝されます。
③ 教育コスト削減
新人を教育するためにセミナーに参加させたり、院内勉強会で講師を呼んだりしますが、医院にベテラン歯科衛生士がいれば、その必要がなくなります。教育コストを削減できるので、後輩指導を求められるでしょう。
以上のように、技術的なスキルを持ち、専門知識を有するキャリア衛生士の存在は、医院の成長を加速させるために魅力的です。教育環境も整えば、組織全体の生産性も一気に向上します。
歯科医院がキャリア衛生士を雇って失敗することやデメリットは?
一方、キャリア衛生士を雇って後悔するデメリットはどんなことがあるのでしょうか。
① 早期に転職する可能性がある
前職を辞めたということは、今回もその可能性が考えられます。
特別な理由がない限り、理想が高いのではないか?合わなければ早期に退職することもあるのではないか?と疑われてしまいます。
② 若い世代の成長が遅れる
できる人がやったほうが早い、クレームがこないなど、理由をつけて何でもキャリア衛生士がやってしまうと、新人スタッフの成長の芽を潰してしまうことも…。
若い世代の成長を促すように、ある程度仕事を任せていくことも大切なのです。
③ 人件費がかかる
キャリアを積んでいる分、お給料は高くなります。
しかし、蓋を開けてみたら思っていたよりできることが少なく、求める人材ではなかった…と後悔する院長先生もいるようです。実力がわからないからと低めの設定からスタートすることもありますが、キャリア衛生士としては「もっと条件よくてもいいはず」と感じ、採用ミスマッチが起こる可能性があります。
新卒は医院の色に染まりやすいですが、ほかを知っている歯科衛生士ではそうもいきません。比べられて不平不満を撒き散らされてしまうこともあるようです。
軸がしっかりしすぎていると、本人の希望と方針が合わない可能性があり、周りと調和がとれなくなってしまいます。また、医院によってやっていることが違うので、経験豊富だとしても求めるキャリアを持つ人材かどうかはわかりません。
意外と転職時に見られている謙虚さや臨機応変さ
以上のように、キャリア衛生士は自己が確立されている分、扱いづらいといった懸念点があります。
よって、キャリア衛生士の転職時には、謙虚さや臨機応変さなどが見られています。
◯謙虚さ
・他の人の意見を尊重する
・権威を用いない
・自分の非を認めることができる…など
◯臨機応変さ
・状況を見極めて素早く対処できる
・意見を修正できる
・今の医院で求められるスキルを見極めて高める努力をし続ける…など
謙虚さや臨機応変さは、人の言いなりになったり、自信がなかったりすることではありません。
間違っていることを認められる素直さや、周りの様子に合わせて対応し、自分と違う人とうまく協力することができることなどです。
キャリアがあるのが良い方向にいくのか、悪い方向にいくかは性格の影響が大きいのかもしれません。
選ばれるキャリア衛生士になるためには、医院に求められることを意識して、専門性や知識、スキルなどの経験を持つ以外にも、人間的な魅力を磨いていく必要がありそうです。
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ライター
歯科衛生士/ライター・動画編集者
歯科医院で歯科衛生士をしながら、歯科メディアにてライター・動画編集者としても発信活動中。
現場で働くからこそわかる、リアルな声をお届けします。