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歯科医院内で患者さんに信頼されるコミュニケーションのコツとは?現役歯科衛生士の実体験を元に解説

歯科医院内で患者さんに信頼されるコミュニケーションのコツとは?現役歯科衛生士の実体験を元に解説
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作成日:2024/11/20

「患者さんに信頼される歯科衛生士になりたい」

「患者さんとのコミュニケーションがうまくいかない」

 

このように悩んでいる歯科衛生士さんが増えています。

予防を重視する歯科医院が増えて、患者さんの健康観に働きかけるよう歯科医院から求められるため、コミュニケーション力が試される場面が多いからではないでしょうか。

 

最近は歯科衛生士も担当制のことが増え、患者さんから指名されることも出てきました。

すると、アポイントがキツキツで何ヶ月先も埋まって予約が取れない歯科衛生士さんと、ガラガラの歯科衛生士さんの差が明確になってしまうこともあります。

あまりにひどいときには「次回から担当を変えてほしい」と患者さんから受付にクレームがきてしまうことも…。

 

一方、患者さんから人気で信頼されている歯科衛生士さんは、キャンセル率が低く、リコール率は高いです。

歯科医院としては嬉しい状況で、そういった歯科衛生士さんには多くのお給料をお渡ししていることもあるでしょう。

 

そこで今回は、なかなか信頼を勝ち取れないとお悩みの歯科衛生士さん向けに「歯科医院内で患者さんに信頼されるために重要なコミュニケーションのコツ」を現役歯科衛生士である本吉が、実体験を元に解説します。

歯科医院内で患者さんに信頼される3つのメリット

ただ仕事をこなしてお給料をもらうだけなら、面倒くさい信頼関係構築なんて必要ないと思っている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、患者さんに信頼されることで得られるメリットは自分自身にもあります。

1. 仕事がやりやすくなる

信頼してくれる患者さんばかりでアポイントが埋まったら、仕事も楽しくなりませんか。

 

まるでお友達や親戚の人が来たときのように

「〇〇さんはお孫さんがもうすぐ生まれると言っていたから来院されたとき写真見せてもらおう」

「前回受験で大変だと言っていたけどどうなったかな」

なんて会話ができたら患者さんと会うのも待ち遠しくなります。

 

患者さんも聞かれて嬉しいでしょうし、話すことでストレス発散につなげることもできるかもしれません。

この域にまで到達したらもう勝ちです!こちらの言葉に耳を傾けてくれる場面も増えていき、仕事がどんどんやりやすくなります。

また、一見歯科とは関係なさそうに見える会話も「受験生ということは“夜食や間食が増える”、“ストレスによって唾液分泌量が減る”などでむし歯のリスクが高まる時期だな」など、これらの情報から健康につなげるヒントが見つかることもあります。

2. 感謝されるので仕事にやりがいが持てる

自分の発言を信じて患者さんがきちんと病気に向き合い、口腔内がみるみる良くなったら嬉しくないでしょうか。

患者さんも「〇〇さんが担当してくれてからよくなった」と感謝してくれ、仕事にやりがいが持てます。

どうせ同じ時間を過ごすなら、自分の仕事が人のために役立っているなと感じられるほうが楽しいのではないでしょうか。

3. 経営が安定する

人気でなかなか取れないアポイントの場合、患者さんもキャンセルしたくなくなるのでキャンセル率が下がります。

メインテナンスは3割負担で1人3000~4000円程度ということは、約1万円が医院に入ります。1日1時間のアポイントで8人診ると8万円になりますが、1日1人キャンセルがでたら月20日診療日の場合、20万円の大きな損失となります。

なので、経営者はキャンセルを嫌がるのです。また、信頼関係ができているとリコール率も上がります。

売上に波が出やすい治療でアポイントが埋まるよりも、数カ月先までメインテナンスでアポイントが埋まるほうが、経営は安定することも多いです。

ですので、人気の歯科衛生士さんにはいてもらいたいと思い、働く条件を良くしてくれる院長先生もいらっしゃいます。結果、自分にとってもメリットが大きくなるのです。

以上のことから、信頼関係はできるだけ構築していったほうが自分もメリットが大きいということです。

歯科医院内で患者さんに信頼されるために重要なコミュニケーションのコツ6選

そこで私が行なった、患者さんに信頼されるためのコミュニケーションのコツを6つご紹介します。

1. 痛みを与えない

コミュニケーションと言っているのに、処置のこというのは反則では!?と思うかもしれませんが、良いコミュニケーションを取るために一番重要ではないかと個人的には思っています。

もちろん「元気にあいさつをする」「笑顔でいる」など人として当たり前のことをやるのはもちろんですが、それをしたからといって信頼が得られるわけではないですよね。言葉よりも行動に示したほうが患者さんに伝わることも多いのです。

目にタオルをかけ周りが見えない患者さんは何をされているかわかりません。ですが、余計にお口の中のことを敏感に感じ取っているとも思います。

私はミラーの挿入からバキューム、プローブ、スケーラーなどすべてのことに気を配って絶対に痛みを与えないように心がけています。

ですが、きちんとプローブを挿入して計測することや歯石をしっかり取り切るなどやるべきところはしっかりやります(炎症が強すぎる場合は浅めに計測してちゃんとお伝えし、後日、炎症が落ち着いてから再計測することもします)。

自分がクリーニングをされても感じますが、きちんとスケーラーが歯肉に入っているかどうかなど意外とわかったりしませんか。

これができると処置前は無愛想だった患者さんも最後にはお口がスッキリした様子にびっくりして喜んで帰ってくれます。「痛みを与えない」だけでも信頼を勝ち取ることはできると筆者は感じています。

2. 事前に説明する

そうはいっても、歯周病が進行して炎症がひどいときにはプローブが深く入ってしまいやすく、気をつけていても痛みを与えてしまう可能性もあります。

また、長く前の歯科衛生士さんが担当していて引き継ぎしたときは、どんなに気を配っていても不満が出てしまうこともあるのは仕方がないことです。

そんなときには事前に説明をすること。処置後に話すと言い訳に聞こえてしまいますが、処置前に説明していれば多少気になることがあったとしても事前に聞いているので納得してくれる患者さんも多いです。

痛そうなのは触る前に見てわかると思うので「出血が多いと思う」「ここは痛みがでそうです」など一声かけてから触るようにしていました。

3. 患者さんのことを覚えている

自分に関心があるのは誰しも嬉しいこと。

お口のことはもちろん日常のことも記憶しておく、メモに残しておくことをしていました。メモには口腔内状況のほか、日常生活のことも枠外に記載しています。

少しの会話も覚えているとむしろ患者さんが驚くこともあります。「あなたに興味がある」ことを伝えるためにはこれが一番大事だと思っています。

4. 患者さんのことをよく観察している

服装などの見た目からお口に至るまでよく観察しておきます。

患者さんが気に入ってそうなお洋服や靴など見つけて「素敵ですね」と言うこともあります。

例えば登山靴を履いていたら「土日にはよく山に行く」など趣味の話に繋がることも。

お口の中の情報で役立つのは口腔内写真です。どれだけ記憶力がよくても覚えきれないこともありますが、こちらがあると簡単に見比べることができます。

今までなかったのに突然舌痕などが出てきたら、生活スタイルに変化があって大きなストレスを抱えている可能性があります。

「最近ストレスかかることありませんか」と尋ねて「ある」といったら「実はこういう痕があって…」と伝えると本人にも響きやすくなります。

本人も気づいていないけれども思い返せば自覚あることをお伝えすると、特に信頼を得られる気がしています。

5. 患者さんのことを一番に考える

歯科医療従事者は、歯間ブラシやフロスも使用する、歯磨きは毎食後必ず時間をかけて丁寧に磨く…など、つい理想を伝えたくなってしまいます。

しかし、患者さんはお口のことだけを考えられるわけではなく、他のこともたくさん抱えています。

もちろん良い生活習慣を送ることは大切ですが、人生は波があるのでどうしてもそれができない時期だってあります。

そんなときに理想論ばかり伝えていても響きません。この患者さんには歯間ブラシは難しいなと思ったら歯磨きだけで対応できそうな歯ブラシをおすすめする、少し余裕ありそうならここだけ歯間ブラシ頑張ってもらう…など「今この患者さんが求めていることはなにか」と、患者さんのことを一番に考えて言葉を選ぶようにしていました。

このとき「行動変容ステージモデル」をよく使っていたかもしれません。

人が行動を変えるのは「無関心期→関心期→準備期→実行期→維持期」の5つのステージを通ると言われています。

今この患者さんはどのステージにいるのかを考え、少しずつ前に進めるよう促していきます。

時には1歩進んで2歩下がることもあります。それでも人生は長いので、長い目で見たときに少しでも健康へ近づいていれば大成功と思って診療しています。

6. 家族ぐるみで巻き込む

ご本人だけでは限界があることもありますが、お子さんやお孫さん、大好きな恋人のためなら頑張れることもありますよね。

お孫さんのためにむし歯は早めに治しておきましょう、大事な奥さまのために歯周病治療をして移すリスクを下げましょう…など。

また、ご家族も巻き込んで治療やメインテナンスに呼ぶのもよかったです。ご本人から得られなかった貴重なぶっちゃけ情報もご家族から得られることもありますし、家族間で情報を共有して家族みんなで健康意識が高まることがあります。

 

私はこのようにして信頼関係を得られるよう努力していました。みなさんはどのようにされていますか?

 

歯科医院で歯科衛生士をしながら、歯科メディアにてライター・動画編集者としても発信活動中。

現場で働くからこそわかる、リアルな声をお届けします。

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