新型コロナウィルスと歯科衛生士と求人 / 辞めたい気持ちをHappyに

新型コロナウィルスと歯科衛生士と求人 / 辞めたい気持ちをHappyに

作成日:2020/04/02 更新日:2020/06/27
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新型コロナウィルスの完全な収束はまだまだ見えない状況の中、辞めたいからといって転職をするのは正解なのか?するならばいつかのか? みなさんが知りたい素朴な疑問から、歯科医院におけるコロナウイルス対策まで幅広く【歯科衛生士と新型コロナウィルス】の向き合い方に関してまとめました。 
 

目次:
①,新型コロナが歯科医院へ及ぼす影響
       ・患者さん・売上の減少
       ・歯科医院へのネガティブイメージ
       ・歯科衛生士の就業意欲の低下
 
②,歯科医院が行っているコロナ対策
       ・待合室の環境整備
       ・アポイントの取り方
       ・口腔ケア、アシストの感染予防策
       ・スタッフ自身の健康管理
 
③,歯科衛生士会のコロナに対するスタンス
       ・新型コロナウィルスへの向き合い方
       ・コロナウィルスとの付き合い方
 
④,職場を辞めたいと考えている歯科衛生士へ
       ・新型コロナの求人募集への影響
       ・感染リスクの中で働きたくない
       ・コロナ前から「辞めたい」
       ・アフターコロナの求人予測
 
 
 

① 歯科衛生士求人募集が大幅に減った背景 / 新型コロナウイルスはどう歯科医院に影響しているのか?

 
 2020年6月 歯科医院の現状

政府が緊急事態宣言を出した2020年4月〜5月にかけては、多くの歯科医院でこれまでの通常診療の形から診療時間短縮、または一定期間の完全休業に踏み切りました。当然ながらこの期間は求人募集が急激に減りました。グッピー・ジョブメドレーなどの大手求人広告サイトでの求人数は一瞬で約1/3にまで減りました。

緊急事態宣言の一時解除と共に6月からは少しずつ通常診療に戻している歯科医院が多い印象です。



一番影響を受けているクリニック

予防歯科をクリニックの柱として診療をしてきた歯科医院。緊急事態宣言下ではメンテナンスは不要不急と捉えられ、アポイント自体を自粛するクリニックが首都圏中心部では約4割。(弊社調べ)

緊急性の高い治療でなければわざわざリスクを冒して歯科医院への来院自体を自粛する患者さんが多数いたのはもちろんのこと、『メンテナンスのアポイントは極力延期してほしい』と日本歯科医師会からの自粛要請に共鳴した歯科医院側が多かったとも言えます。
 

現在はこれまで積極的に歯科衛生士採用をしてきた予防型クリニックが大打撃を受けてますが、今後1−2年かけてインプラント系クリニックや矯正歯科など景気の影響を受けやすい自費型クリニックにも大きな影響を及ぼすと予想されます。




出典:令和2年5月1日に日本歯科医師会から読売新聞・毎日新聞そして全国地方新聞に掲載された声明広告 



 
 歯科医院へのネガティブイメージ

テレビやネット等のメディアでも歯科医院での感染リスクの高さを伝える報道が多くなり、「歯科医院=感染リスクが高い」という認識を持った方も多いと思います。
 
日本歯科医師会の堀憲郎会長自ら令和2年4月30日にTBSの朝の情報番組である『あさチャン!』にて声明を発表されました。


新型コロナウィルスに関しては信頼性の高いエビデンスを得ることが難しい中、なぜ歯科医院はコロナ感染のリスクが高いと認識されるようになってしまったのか?

これまでは「予防で定期的に歯科医院に通いましょう」と推奨していました。人口と虫歯の罹患率が同時に減少し続ける日本では、歯科医院経営の観点からも予防歯科は唯一の希望と見られていましたが、患者さんから危険な場所と思われれば思われるほど、定期検診で来院される方は減ってしまいかねないです。
 
 

  歯科衛生士の就業意欲の低下

2020年3月15日に発行されたアメリカのThe New York Times 誌「The Workers Who Face the Greatest Coronavirus Risk」にて、感染症のリスクが最も高い職種に歯科衛生士があげられました。

みなさんはどんな基準で感染症リスクが高いと結論づけられたかご存知でしょうか?
これは2つの軸でリスクマップが作られており、一つ目の軸が『How often workers in a given profession are exposed to disease and infection = 病気や感染症に身をさらされている職業かどうか?』。

そしてもう一つが『How close people are to others during their workdays = 仕事中の他人との身体的な近さ 』です。

しかし、病気や感染症リスクに身をさらされているとありますが、歯科医師や歯科衛生士の仕事は歯科疾患を抱えている患者さんと日々関わる職業であり、そもそも歯周病はバイオフィルム感染症ですから、ここでの感染症というくくりはコロナウイルスへの感染を考えた際には的確な判断軸とは言えないのでは二でしょうか?

この点に関しては神奈川県歯科医師会に所属している高橋矯正歯科医院の高橋先生が詳しく執筆されておりますので、歯科衛生士さんでご自身の職務に対して強い不安を抱いている方はきっと考え方が変わるきっかけにもなるのでご確認ください。

 


今みなさんが歯科衛生士として、歯科医院そして歯科衛生士の仕事・取り組みがどのようなものであるのか?正しく周りに情報発信してゆくことが、歯科衛生士という仕事の世間からの認識に繋がってゆくことでしょう。

もし不確かな情報を基に、『危ない仕事』と流布することは、これから歯科衛生士になる人を確実に減らす言動になりますし、それは回り回ってあなた自身にとってもマイナスの影響を及ぼす可能性は高いです。


何よりも大切なことは、あなたが働いている歯科医院が適切な感染対策を施しているか?という点です。消毒・滅菌をはじめとした感染対策を一切していない歯科医院は、感染リスクが高いのは間違いことですし、適切な対策を行なっている歯科医院であれば、感染リスクを限りなくゼロに近づけていると言えるのですから。



 

② 歯科医院が行っている新型コロナウイルスの感染対策

 
4月7日の緊急事態宣言後、緊急性のない治療の延期や治療時におけるPPE着用の徹底をするなど感染症対策を行うように厚生労働省が促しています。
診療室内の衛生管理は平常時でもおこなっていましたが、コロナウィルスの影響により待合室の衛生管理も重要視されるようになってきました。具体的に歯科医院で取り組まれている対策をまとめましたので、あなたの歯科医院でも未対応な点があったら、導入してみてはいかがでしょうか?


待合室の環境整備
 

エアロゾル(aerosol)とは、空気中に浮遊する直径が0.001μm〜100μmの非常に小さな粒子のこと。
(1) 待合室のイス、ソファー、ドアノブ、スリッパ、手すり、診察券入れ、問診表記入のボールペン等、不特定多数の人が触るものに関して、一定時間毎の消毒、もしくは都度消毒を行う。

* アルコール系消毒剤の在庫不足により、アルコール系消毒剤の使用が難しい場合は次亜塩素酸ナトリウム溶液0.05%~0.1%に浸漬したタオルで清拭を行うことも可能です。(タオルはディスポのものを使用する。)
 

(2) 不特定多数の人が触る可能性のある本や雑誌の撤去、特にキッズルームのおもちゃや人形は撤去する。
 

(3) 待合室のイスを1-2m間隔を置き、ソーシャルディスタンスを確保する。
 

(4)来院時に手指のアルコール消毒、うがい、検温を患者さんにご協力いただく。
 
 

アポイント時や来院された際に確認していること。

患者さんのアポイントを電話で受ける際や来院時に問診という形で、以下の点を要確認している歯科医院が増えてきました。 

(1) 14日以内に新型コロナウィルス感染している人との濃厚接触があったか?を確認
 
(2) 発熱、呼吸器症状、味覚障害などの自覚症状はあるか?
 
(3)14日以内の海外渡航歴の有無。
 
 
取材者:岩渕

上記項目に当てはまる患者さんには、伝え辛いですが予約の変更をお願いすることが大切です。微熱だからと言って大目に見てしまうことは、クリニックの信用を根底から揺るがす結果を招きます。

 

  口腔ケア、アシスト時の感染対策

これまで以上に感染に対する意識を高めることはもちろん、施術のやり方にも変化を加えて行うことも有効になります。
 
(1) スタンダードプリコーションを守る。
1患者、1処置ごとの手洗いや、グローブ・マスク・フェイスシールド・ガウン・キャップ等の個人防護服(PPE)を着用し業務にあたる。

 
取材者:岩渕

取材した歯科医院の中には、個人防護服(PPE)は各医療機関で不足している現状を踏まえて、ナイロン素材のトレーニングウエアを着用し、診療後毎にウエアを消毒しているクリニックもありました。(通常の綿でできた白衣では、付着した粒子が拭き取れないとの理由から)



 (2) スケーリングやPMTCの際は可能な限りディスポ製品を使用し、あらかじめ必要な物は全て準備をして施術を行う。また飛沫に留意し、超音波スケーラーの使用を控え、口腔外バキューム等を使用しながら施術を行う。


(3) 導入の難易度は高いですが、治療時のラバーダム使用は唾液の飛沫を大幅に軽減できるので有効性は非常に高いです。 
 
 
新型コロナウィルスの特徴として粒子が非常に小さい点が挙げられます。そのためこの小さな粒子が入らないようにN95マスクの使用が推奨されるが、N95マスクは高価で手に入り辛いため、一部の歯科医院ではマスクを二重にしたり、マスクの上からフェイスガードをしたりするのです。 また粒子が非常に小さいためエアロゾル感染の可能性が指摘されており、空気の換気を頻繁に行うことが推奨されているのです。



  スタッフ自身の健康管理


感染予防をするには院内だけでなく、通勤時やプライベート時間で感染することがないように、スタッフ自身の健康管理意識も重要です。
 
(1) 手洗い、うがいの励行

(2) 出勤前の体温測定

(3) 発熱や味覚障害、呼吸器症状がある場合は院長に報告し、仕事を休む。
 
 
 

③ 歯科衛生士として新型コロナウィルスと向き合っていく



 

新型コロナウィルスとの付き合い方


新型コロナウィルスの感染が拡大するとともに、多くの歯科衛生士が不安・悩みを抱えながら仕事に従事していることと思います。そんな不安がピークに達した令和2年4月28日に公益社団法人 日本歯科衛生士会の会長である武井 典子氏は声明を出しました。
 


まず最初にこの言葉を持ってきたことに意味があると思います。なぜなら医療人として自身が感染者となり、患者さんに迷惑をかけることは絶対にあってはならないから。また自分を守ることすら出来ない人は患者さんを守ることもできないであろうから。

その上で、
 

注意喚起をされていたのは2点
 
1、重度の歯周病患者さんをケアする重要性

重症度の歯周病患者さんやプラークコントロール不全に陥った方の中には、全身状態にも影響が出てしまう可能性があるため、歯科衛生士として感染対策を徹底した環境下で患者さんを見守り続ける必要がある。
 


 
2、訪問歯科の需要に答えてゆく必要性がある。

新型コロナウィルスが長期化することによって、外出することが難しくなり、在宅医療がこれまで以上に求められているという事。それに伴い摂食・嚥下の対応ができる歯科衛生士の存在・重要性が今後より一層高まるとおっしゃられていました。

実際これまで健康だった高齢者の中でも、長期間外出を控えたために足腰が弱り、歯科医院まで来院できなくなってしまう方も増えるかもしれません。
これまで、日本における重症者や死亡者は欧米と比べると非常に少ないですが、高齢者のリスクはみなさんの知るところですが、基礎疾患を持つ方は重症化しやすいとも言われております。中でも特にリスクが高いと言われているのが糖尿病の有病者です。
 

 
そして最後に伝えていたメッセージは、正しい情報に触れ、自身が安定した状態で患者さんをケアして行きましょうという素晴らしいメッセージでしたので、皆さんも是非一度読んでみてください。
 
参考
日本歯科衛生士会:歯科衛生士として「新型コロナウイルス」に向き合う!~自分を守り、人を守り、心の健康を保とう~

 
 
 

④職場を辞めたいと考えている歯科衛生士の方へ

 

新型コロナウィルスの影響で歯科衛生士という仕事自体の継続を悩んでいる。


新型コロナウィルスが流行し始めた2020年3月を境に、クリニックの方針で働き方の変更を余儀なくされている歯科衛生士さんも多いです。

院長のコロナウィルスに対する危機意識の度合いにより、一時休診という手段を講じるクリニック、時短診療への変更、特別対策せずに診療を続けるクリニックまで医院によって対応は全く異なりました。

感染リスクの高い仕事ゆえに、スケーリング等の歯科衛生士業務を続けることに不安を抱えていらっしゃる歯科衛生士さんもたくさんいるとは思いますが、実際のところ他業種に転職するという選択は正しいのでしょうか?

2020年6月現在、他業種への転職は非常に困難を極めます。人と接触する機会の少ない受付・事務職などはコロナ以前から人気のある職種でもあり、未経験での転職は難易度が高く、これまでの求人売り手市場(求職者にとって有利な状況)から完全に買い手市場(採用する側に有利な状況)に採用市場は大きく変化しました。
 

新型コロナウィルスが求人に与える影響

売り上げの減少、先の見えない現状では歯科医院を経営する院長は「今は可能な限り人件費を抑えたい」というのが本音です。そのため求人数は大幅に減り、東京都の求人数が2月に比べて3月は3割減、4月は6割減と大きく減少しました。
6月に入り求人数も復活をしてきましたが、それでも例年の求人数に比べると6割程度といったところです。

求人数の多さは歯科業界の未来に対する楽観度合いの表れとも言えます。歯科衛生士である皆さんも不安を感じている事と思いますが、院長自身も強い不安を感じていることは間違いありません。



2020年の歯科衛生士求人トレンド
 
1、非常勤募集の割合が増える

「人材は必要だが、人件費(給料)のコストはなるべく増やしたくない」
と考える院長先生は多いです。月の固定給が高く、さらに賞与や昇給などコストが高い常勤採用に踏み切れないということです。

初めは非常勤でスタートして、患者さんが戻ってきたら常勤採用の可能性があるという形で入社をしている歯科衛生士さんも増えました。
 
 
2、売り手市場 → 買い手市場

これまで歯科衛生士の採用面接は、他業種に比べても合格率が高かったと言えます。それは慢性的な歯科衛生士不足と、定着率の低さが要因になっていますしたが、新型コロナウイルスの影響から退社を踏みとどまり、我慢して今の職場に残るという決断をしている歯科衛生士が多いです。そのため、好条件クリニックへは応募が殺到し、採用面接のハードルが高くなっています。

常勤採用はもちろん、これまでは「人がいないと困るから、経験も乏しいし、ちょっと暗いけど、人が足りないから採用してみよう」とチャレンジ採用されていたような歯科衛生士さんは面接不合格となることが多くなっています。
 
>>採用と不採用はどこで判断されているか?

 

感染リスクで「辞めたい」考えている歯科衛生士へ


感染リスクがゼロになることはありませんが、歯科医院によってはゼロに近づける努力をしているところはあります。歯科医院の経営状況や、院長先生の考え方に大きく依存する部分はあると思いますが、先生やスタッフとよく話し合うことが一番有効だと思います。

また、自粛が緩和された後に医院の状況がどのように変わるか、医院がどのような対策を開始、継続していくかを見てから判断しても遅くはありません。現在の職場がどうしても感染リスクが不安だという場合は、一時休業を申し出るなど辞める以外の方法も検討してみた方が良いと思います。
 
 

コロナに関係なく「辞めたい」と考えている方へ

以前から職場を辞めたいと考えている歯科衛生士さんの中には、『 完全にタイミングを逃してしまった 』と感じている方もたくさんいるはずです。しかし、今は全体的に求人数が少なく、合格率も低い中で自分にとって理想の歯科医院に転職出来る確率は決して高いとは言えません。

 


それでもやっぱり辞めて転職したいと考えている方は、7月〜10月にかけて転職活動をするのが良いかもしれません。11月以降に気温が下がり始めると、改めてコロナ第二波に対して自粛傾向が進むのでは?とデンタルハッピーでは予想しております。
4月のような自粛が始まると、本当にスタッフ不足のクリニック以外は衛生士の募集は一時自粛しますから、転職するタイミングが何よりも大事なことはいう前もありません。


一人暮らしをしているなど、無職の期間が長くなると生活に支障をきたす方などは、特に見切り発車で退社を決めないことが良いです。
自分がどう動けば良いか?悩まれている方はお気軽にデンタルハッピーへご相談ください。
 

 

アフターコロナの求人動向の予測

新型コロナウィルスが完全に終息するのはかなり先のことになると思います。おそらく2021年夏頃になってしまうのではないでしょうか。

それでは、自粛ムードが緩和され、歯科業界がコロナ以前のように戻り、歯科衛生士にとって求人募集が溢れた状態に戻るのでしょうか?
 
患者さんからの支持が高かったクリニックから本来の力を取り戻し、募集を再開すると思われます。元々患者数が多かった歯科医院はどこもまた歯科衛生士不足に陥ると思われます。

現在の求人数が少ない状況で就職活動をすることに比べたら、自分にとって「働きやすい職場」に出会える可能性が高いことは言うまでもありません。
 
また、自粛が緩和された後に「患者さんがきちんと戻ってくるクリニック」とは「患者さんとの信頼関係が深いクリニック」ということにもなりますので、少なくとも患者さんにとって良いクリニックである確率も高いと言えます。
もしかしたら今回の新型コロナウィルスの影響で患者さんに支持されていなかった歯科医院は募集どころか、淘汰されていくかもしれませんね。
 

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